【強迫性障害と不安障害について】

このページでは以下のことについて記載しています。

1⃣強迫性障害の概要

2⃣強迫性障害の様々な症状

3⃣不安障害の概要

4⃣不安障害の様々な症状


1⃣強迫性障害の概要

●強迫症とは?

何度も繰り返し浮かぶ理不尽な考えやイメージ、衝動に行動が支配されてしまう病気です。

強迫性障害は『強迫観念』『強迫行為』からなります。

強迫観念とは…繰り返ししつこく浮かんできて心を不安、不快にさせる考えやイメージ。

強迫行為とは…強迫観念による不安や恐怖を一時的に軽くし、安心させるため行う行為。

この強迫観念と強迫行為の悪循環から抜け出せなくなってしまう状態です。

 

●病名について

昔は神経症(ノイローゼ)の一種で『強迫神経症』と呼ばれてましたが、

その後『強迫性障害』と呼ばれるようになり、近年では『強迫症』とも呼ばれつつあります。

分かりやすい所では『とわられの病』ということもあります。

※英語では『OCD』(Obsessive-Compulsive Disorder)といいます。

 

●有病率

強迫性障害の病気の人の割合は1~2%。

一生の内にこの病気になる人は1~4%になると考えられています。

日本にはおよそ100万人以上はいると推定されています。

 

●ただの性格では?

キレイ好きだったり、確認をしっかりしたりというのは本来よいことですが、それが強迫症として判断されるかどうかは、シンプルにいうと「そのことによって日常生活に問題が生じ、困っているかどうか」です。

 

●強迫症の有名人

デビッド・ベッカム(サッカー選手)

キャメロン・ディアス(女優)

ナイチンゲール(看護師)

チャールズ・ダーウィン(生物学者)

平賀元義(国学者/歌人)不潔恐怖 


2⃣強迫性障害の様々な症状

強迫性障害には様々な症状があり、ここではその中の一部を紹介します。

 

【不潔恐怖・洗浄強迫】

強迫症の中ではよく出やすい症状です。

・長い時間をかけて手や体を洗ったり、それほど汚れてもないのに、汚いと思う物や場所を拭き続けてしまう。

・自分が病原菌をまき散らして、周りの人に病気を移してしまうのではないかと心配になってしまう。


【確認強迫】

どんなことでも「ちゃんとできたのだろうか?」と不安になって何度も確認してしまう。

・家のドアや窓の鍵をかけたのか不安になって、何回も何回も確かめてしまう。

・コンロの火を消したかどうかの確信が持てなくて何度確かめても大丈夫という確信が持てない。


【加害恐怖】

実際には何も起こっていないのに自分が誰かを傷つけてしまうのではないか?

という考え無視が出来なくなる症状です。

・道端ですれ違った人を傷つけてしまったのではないか?と心配が止まらなくなる症状。

・運転中に誰かを引いてしまったのではないか?と考え車を降りて確認を何度もしてしまう。


【縁起強迫】

ある文字や数字を見ると、家族や自分に不幸なことが起こるのではないか?

と考えてしまって、その不吉さを打ち消すためになんらかの儀式を行ってしまう。

このように文字や数字、色など様々なものにとらわれてしまう人がいます。

 

【強迫性緩慢】(きょうはくせいかんまん) 

どんなことでも自分で決めたタイミングや手順の通りできているか、注意を払って自分の動作や状況を確認しながら行い、なかなか次の動作に移ることが出来ない。

頭の中で強迫行為をしているため、周りの人からは「立ち止まっている、ゆっくりと行動しているのではないか」と見られてしまう。

 

【雑念恐怖】

特定の嫌な考えが頭に浮かび、考えたくもない考えが、何度打ち消しても浮かび続ける。

不道徳な考えが浮かぶことへの恐怖が浮かんできて、行動が制限されてしまうこともある。

  

【不完全恐怖】

自分の決めたルールを守らないと気がすまなくなってしまう。

物事の正確さだったり、左右対称性に極度にこだわってしまう。

・本を順番通りキレイに並べないと気が済まない。

・お風呂で自分の決めた順番通りに完全にやらないと気が済まなくなる場合もあります。

  

【関連する症状】

「ため込み症」(収集癖)‥使う機会のない不必要なものでも、必要な時が来るのではないかと考え、ため込んでしまってなかなか捨てられない。

ゴミ置き場など目についたものを持って帰ってきてしまう。

 

「身体症状症」‥健康診断で「異常なし」と診断をしてもらっても、病気があるのではないかと考え不安になり、何度も何度も検査を受けに行ってしまう。

 

「醜形恐怖症」‥自分を醜いと思い込んでしまう。

 

「抜毛症」‥自分の髪の毛や眉毛などと抜き続ける。

 

「皮膚むしり症」‥ニキビのあとやささくれなどを触り続けてしまう。


3⃣不安障害の概要

●不安障害は、不安を主な症状とする病気をまとめて不安障害と呼ばれています。

代表的な症状には「社交不安障害」「パニック障害」「広場恐怖症」「限局性恐怖症」「全般性不安障害」などがあります。

 

●推定患者数‥約1000万人以上とも言われています。

これはうつ病などの患者数を上回っており、誰もがかかりうる病気だと考えられます。

 

●有病率‥どの不安障害の症状も女性の有病率が男性よりも2倍程度、高くなっています。


4⃣不安障害の様々な症状

◆社交不安障害(SAD)

かつては「対人恐怖症」とも呼ばれていました。

欧米でもこの症状に悩む人が多く、Social Anxiety Disorder(SAD)「社会不安症」と言われるようになりました。

 

●様々な症状

・対人恐怖‥社交不安障害の基本となる症状。他人と関わることに強い不安を感じます。

 

・スピーチ恐怖‥会議や結婚式でのスピーチなど、人前で話す時に極度の緊張状態に陥ります。

 

・視線恐怖‥他人の視線を感じると「見られているのではないか?」と不安に思い、苦痛を感じます。

 

・赤面恐怖‥人と話す時や人前に出ると、顔が真っ赤になってしまい、それを気にすることでますます赤くなってしまい人前に出るのが怖くなってしまいます。 

 

・発汗恐怖‥人と対面すると、緊張して大量の汗をかいてしまう症状。

 

・会食恐怖‥ 人と一緒に食事をすることが苦手で、不安、緊張が高まり、食事の機会を避けるようになります。


◆全般性不安障害

様々なことについて、過度な不安や緊張を感じ、常に漠然とした不安を抱えている状態をいいます。

不安に感じる対象は様々なで、仕事や家庭、健康、安全など広範囲にわたって不安を感じます。

1つの出来事に対する不安が終わると、また次の出来事への不安が始まるといった具合に、次々と不安の対象が変わっていきます。

身体症状としては、頭痛や肩こり、動悸、発汗なども伴うこともあります。


◆パニック障害

突然、強い不安や恐怖と共に動悸や冷や汗、呼吸困難などの症状に襲われる病気。

パニック発作と呼ばれる症状が、いつ起こるか分からないため日常生活に様々な支障をきたす。